工事原価と積算の違いをわかりやすく解説

~“似てるようで違う”お金の見方、プロはここを区別してる!~
建築業界では当たり前のように使われる「積算」と「工事原価」という言葉。
でも実は、「どう違うの?」「どっちも“工事費”のことじゃないの?」と、初学者が混乱しやすいポイントでもあります。
結論から言うと——
積算=これからかかると“予想される”金額
工事原価=実際に“かかった”金額
この違いが分かると、コスト管理や見積精度の考え方がぐっとクリアになります!
■ 積算とは?
→「これから工事するために、いくら必要か?」を計算するもの
積算は、図面や仕様書をもとに
- 必要な材料の数量
- 作業にかかる手間
- 各種の単価
を掛け合わせて、“予定工事費”を事前に出す作業です。
🛠 使う場面:
- 見積書作成
- 発注者への提案価格
- 入札用の金額算出
- 実行予算の設計 など
📌 あくまで「予測」の金額=予定コスト。現実とはズレが出ることも!
■ 工事原価とは?
→「実際の工事で、いくらかかったか?」という“実績の数字”
工事原価は、工事が終わってから振り返る、**“リアルな支出の記録”**です。
含まれるものは以下のような内容:
費目 | 内容例 |
---|---|
材料費 | 実際に使った材料とその仕入れ価格 |
労務費 | 職人への日当や外注費 |
外注費 | 協力会社への支払い |
間接費 | 運搬・現場管理費・保険・事務所経費など |
📌 原価は会計や利益管理に直結する数字です。
■ まとめると、こんな違い!
項目 | 積算 | 工事原価 |
---|---|---|
タイミング | 工事前 | 工事中〜工事後 |
目的 | 見積り・予算設定・価格交渉など | 原価管理・利益確認・実績比較など |
数字の性質 | 見込み(予定金額) | 実績(実際に払った金額) |
主な使用者 | 積算担当・営業・見積担当 | 現場管理者・経理・経営者 |
■ よくある勘違いと注意点
❌ 積算=工事原価ではない!
積算で“これくらいだろう”と見積もっていても、現場で変更があったり、材料単価が上がったりして、工事原価が予想より高くなることもよくあります。
➡ だからこそ、「積算金額と工事原価を定期的に比較・分析」することが重要!
❌ 見積を安くしすぎると利益が出ない…
「受注したいから」と見積金額を無理に下げると、原価割れ=赤字工事の原因になります。
積算段階で必要な原価+適正な利益をしっかり盛り込むことが大切です。
✅ 積算と原価の関係性を正しく理解することが、利益体質の第一歩!
積算は「これからの予測」、
工事原価は「終わったあとの事実」。
この2つを照らし合わせることで、
- 積算の精度を高める
- 適正な利益を確保する
- コスト意識のあるチームをつくる
といった、建設会社にとって重要な経営改善のヒントが得られます。