現場あるある:文化の違いから生まれるトラブルと対策

現場あるある:文化の違いから生まれるトラブルと対策

~「えっ、そんなつもりじゃなかったのに…!」を防ぐには~

外国人スタッフの受け入れが広がる中で、現場では日常的に“文化の違い”が原因のすれ違いが起きています。

どれも「悪気はない」のに、誤解やトラブルに発展してしまうことも。
でも、その背景を理解し、対策を取れば、信頼関係を深めるチャンスにもなります。

今回は、現場でよくある「文化の違いトラブル」と、その具体的な対策を5つの例でご紹介します。


あるある①:「はい」と言うけど分かっていない

場面:
作業指示を出したときに「はい」と返事をしたが、後で確認すると理解していなかった。

なぜ起きる?
多くの外国人は「その場の空気を壊したくない」「NOとは言いにくい」という文化背景を持っています。日本語に不慣れでも、「はい」と答えてしまうことがあります。

対策:

  • 返事のあとに「何をするか教えてください」と復唱させる
  • 実演や図で補足し、理解度をその場でチェックする
  • 「わからない時は言っていいんだよ」と安心感を与える文化づくり

あるある②:時間にルーズ?それとも価値観の違い?

場面:
始業5分前に来るよう言っていたのに、毎回ギリギリに到着。時には少し遅刻。

なぜ起きる?
国によって時間の感覚は異なります。たとえば「9:00に始まる=9:00に着けばOK」と考える人も多く、日本の“準備はその前に済ませておく文化”に慣れていません。

対策:

  • 「始業5分前に作業着を着て集合」と行動ベースで具体的に伝える
  • 時間のルールを共有する“オリエンテーション”を初日に実施
  • 遅刻の理由を聞く文化をつくり、一方的な指摘は避ける

あるある③:報告・連絡・相談が少ない

場面:
トラブルがあっても黙っていたり、失敗しても報告がなかった。

なぜ起きる?
「怒られるのが怖い」「自己判断が悪いと思われたくない」など、報連相をする習慣がない文化も多いです。

対策:

  • 「困ったら相談するのが正解」と、報連相の目的を教える
  • 毎日1回の「ミニ面談」などで話しやすい場を設ける
  • 相談されたらまず感謝し、叱らない姿勢で信頼関係をつくる

あるある④:目を見て話さない・反応が薄い?

場面:
話をしているのに、目をそらされる・無表情・リアクションが薄いと感じる。

なぜ起きる?
文化によっては、目を合わせることが無礼、上司に感情を見せないのが礼儀という考え方もあります。

対策:

  • 表情や反応の薄さを「やる気がない」と受け取らない
  • コミュニケーションは表情やジェスチャーも含めて伝える
  • 無理に感情表現を強要せず、本人のペースを尊重する

あるある⑤:休憩の取り方が違う

場面:
一斉休憩中にも仕事をしていたり、逆に決められた時間より長く休憩している。

なぜ起きる?
「休憩は自分の判断で取るもの」という文化がある国もあります。日本の“みんなで同じ時間に休む”というルールは、説明されなければ理解されにくいのです。

対策:

  • 「休憩は○時〜○時、それ以外はNG」と具体的に伝える
  • ポスターや日報に記載して“視覚化”する
  • 最初の数週間は担当者が声をかけて習慣化をサポート

まとめ:文化の違いは「壁」ではなく「橋」にできる

外国人スタッフとのトラブルの多くは、お互いの文化的背景を知らないことによるすれ違いです。
誤解を防ぎ、安心して働ける職場をつくるためには、次の3つがカギとなります。

  1. 違いを責めず「なぜそうなるか?」を理解しよう
  2. 伝え方を見直し、見える化・具体化を意識しよう
  3. 小さなすれ違いを見逃さず、早期に対処しよう

文化の違いを乗り越えた先には、多様性の強みがあります。
違いを受け入れ合えるチームこそ、これからの時代の理想的な職場と言えるでしょう。