採用後1か月でやるべき「定着面談」のポイント

~“早期離職”を防ぐカギは、たった1回の対話にある~
外国人材の受け入れから1か月。
まだ業務に不慣れな時期でありながらも、最初の緊張がほぐれ、「本音」が少しずつ出始めるタイミングです。
この時期に行う「定着面談」は、離職を防ぎ、安心して長く働いてもらうための重要なチャンス。
今回は、1か月面談で押さえるべきポイントと、現場での活用例をご紹介します。
■ なぜ「1か月」がベストタイミングなのか?
1か月目は、以下のような“変化の時期”です:
- 日常業務の流れはある程度把握
- しかし、言えない不安・不満が蓄積しやすい
- 相談する相手が分からず、ひとりで悩みがち
- 「辞めようかな…」と考え始める人も出てくる
➡ このタイミングで“気づき・声かけ・寄り添い”ができるかどうかで、定着率が大きく変わります。
✅ 面談前の準備チェックリスト
- □ 通訳または母国語サポートの用意(必要に応じて)
- □ 面談は静かで安心できる場所で実施
- □ 1対1で、上司よりも話しやすい相手が同席(メンターなど)
- □ 時間は15〜30分、できるだけリラックスした雰囲気で
✅ 面談で聞くべき5つの質問項目
質問カテゴリ | 例文 | 意図 |
---|---|---|
① 仕事への理解 | 「仕事内容は理解できていますか?」 | 業務の中での困りごとを把握 |
② コミュニケーション | 「職場の人と話しやすいですか?」 | 孤立や誤解がないか確認 |
③ 生活面の不安 | 「住むところや生活で困っていることはありますか?」 | 生活ストレスは離職原因になりやすい |
④ 将来への不安 | 「このまま働き続けたいと思っていますか?」 | モチベーションの状態を把握 |
⑤ 改善への要望 | 「もっとこうだったらいいな、と思うことはありますか?」 | 早めに“声”を拾う体制づくり |
✅ 面談時のコミュニケーションのコツ
- ✔ 質問はシンプルに(Yes / No で答えられる形)
- ✔ 「悪いことは言いにくい」が前提。否定せず、感謝の姿勢で聴く
- ✔ メモを取りながら聞き、本人に“ちゃんと聞いてもらえている”と伝える
- ✔ 終了後に「今日は話してくれてありがとう」を必ず伝える
✅ 面談後にすぐやるべきフォロー
- 聞き取った課題・不安を社内で共有(本人が特定されない形で)
- 改善できる点は早急に対応し、「改善した」ことを本人にも伝える
- 次回の面談予定(3か月後など)もその場で伝えておく
📌 一番NGなのは、“聞きっぱなしで終わること”。
フォローの有無が、信頼と定着に直結します。
✅ 実例:とある製造業での「1か月面談」でわかったこと
🇳🇵 ネパール出身スタッフ(25歳)
「日本語で“はい”とは言っていたけど、作業の内容が完全には分かっていなかった」
→ 翻訳マニュアルを見直し、ベテランとペア体制に。以降、離職せず継続勤務中。
🇵🇭 フィリピン出身スタッフ(30歳)
「夜勤後の帰宅が不安で、精神的に疲れていた」
→ 通勤ルートを再確認し、昼勤務へ一時シフト。環境改善でモチベーション回復。
まとめ:1か月面談は「辞めたい」を「続けたい」に変えるチャンス
外国人スタッフの早期離職は、企業にとって大きな損失。
でも、1か月目の対話を丁寧に行うことで、その芽をつむことができます。
面談は「評価」ではなく、「理解」と「信頼づくり」の場。
“困ってることはない?”と一言かけるだけで、救える心があります。