どこまでが積算?見積と積算の境界を知ろう

~“積算と見積は同じじゃない”を理解すれば、仕事の精度が上がる!~
建築や電気、設備の業務でよくあるのが、
「これって積算担当の仕事?それとも見積担当?」
「積算は終わったけど、見積としてはまだ調整が必要?」
——という“役割の境界線のあいまいさ”。
実はこの混乱、積算と見積の「本来の違い」を理解すればスッキリ解決します。
■ 積算と見積、何が違うの?
項目 | 積算(せきさん) | 見積(みつもり) |
---|---|---|
意味 | 図面や仕様書を元に、必要な数量と単価を積み上げること | 積算をもとに、利益・調整を加えて提出価格を決めること |
目的 | 原価を把握する/工事費の根拠を作る | 提案価格や契約金額を決めるため |
数字の性質 | 原価ベース(コスト中心) | 売上ベース(利益含む) |
主な担当者 | 積算部門・設計部門・積算専門業者 | 営業・現場責任者・経営判断担当者 |
📌 **積算は「土台」、見積は「価格戦略をのせたもの」**と理解すると分かりやすいです。
■ 積算でやるべきこと(=ここまでが積算)
✅ 図面を読む・仕様を理解する
✅ 材料や作業の数量を拾い出す(数量拾い)
✅ 単価を掛けて工種ごとの原価を算出
✅ 仮設・共通仮設・諸経費なども含める
✅ 実行予算のベースとなる“工事原価”をつくる
➡ ここまでが「積算担当者の守備範囲」です。
■ 見積でやるべきこと(=積算のあとに発生する仕事)
✅ 積算結果に利益率を加味する(見積調整)
✅ 相手企業・相場・競合状況を踏まえて価格設定
✅ 値引き対応・仕様変更による金額の再調整
✅ 経営判断による戦略価格の設定(勝負価格)
➡ ここは「営業・現場責任者・経営層」の判断領域になります。
■ なぜ“積算と見積の違い”を知るべきなのか?
- ✅ 積算担当は「正確な数字の土台」を出すことに集中できる
- ✅ 見積担当は「どこを削るか・残すか」の戦略判断に専念できる
- ✅ 境界があいまいだと、責任の所在がブレてミスやトラブルに
📌 「積算=原価を正確に出す」「見積=価格を最終決定する」と切り分けておくことが重要です。
■ 境界が曖昧になりやすいケースと対処法
▶ ケース①:数量変更があったけど、誰が直すの?
→ 数量変更は積算の仕事。ただし、それに対する価格調整は見積担当の判断。
▶ ケース②:値引きしたいから金額を下げてほしいと言われた
→ 積算は「適正な原価」を守る役目。価格交渉は営業や経営判断に任せましょう。
▶ ケース③:利益率って積算に入れるの?
→ 原則NG!積算は**“利益を抜いたコスト”まで**。利益は見積時に加算される要素です。
✅ まとめ:「積算=原価」「見積=価格」と覚えよう!
積算 | 工事に“かかる”お金 → コスト感をつかむもの(ベース) |
---|---|
見積 | 工事を“いくらでやるか”を決める → 利益・戦略を含む価格設定 |
積算と見積は、同じ線上にあるけど、担当と目的が違うもの。
役割を明確にして連携すれば、スピードも精度も利益もアップ!